会社設立・個人事業と会社組織の違い
初めての会社設立の方、会社組織と個人事業とで迷われている方、必見です。それぞれの違いについて、メリット・デメリットについてまとめました。事業を進めるに当たり何より大切なことになりますのでこちらをご参照頂きお役に立てて下さい。
1.個人事業と会社組織の違いについて
会社組織 | 個人事業 | |
開業の手続き | 定款の作成、出資金の払い込み、登記手続きと手続きが煩雑で時間と費用がかかる。 | 左記手続きは不要、時間と費用はかからない。 |
社会的信用度 | 対外的イメージとして個人事業より有利に扱われる。 | 会社組織に比べ不利な扱いを受ける場合がある。 |
責任の範囲 | 有限責任
代表者が個人保証をしない限り、出資者が出資金額の範囲で責任を負う(株式・合同会社の場合) |
無限責任
事業主がすべての責任を負う。 |
事業の継続性 | 解散・清算を行わない限り永続的に継続 | 事業主の死亡とともに終了する。 |
事業の内容 | あらかじめ定款に記載した事業に限られる | どのような内容でも行える。 |
事業年度 | 任意の期間を決めることができる。 | 1月1日から12月31日 |
意思決定機関 | 株主総会・取締役会などの機関の決議が必要 | 事業主がすべてを決定する |
利益にかかる税金 | 法人税 | 所得税 |
2.会社組織で行う3つのメリット
事業を行うにあたり、会社組織として行うか、個人事業として行うかいずれかの方法がありますが、会社組織で行うメリットとしては大きく次の3点になります。
- 社会的信用度
- 出資者が出資金額の範囲で責任を負う(株式・合同会社の場合、有限責任という。)
- 節税ができる
弊社へのご相談では、『そろそろ売上も伸びてきたし会社にした方が良いのではないか?』、『脱サラして事業を始めるにあたって会社を作った方が良いの?』というお話が多いです。
それでは、次に会社組織で行うメリットとでは実際にどちらが良いのか具体的に説明します。
3.会社組織と個人事業はどちらがいいの?
上記で会社組織で行う3つのメリットを掲げました。具体的な内容は以下の通りです。
社会的信用度
事業を行うには、個人事業でも会社組織でもどちらでも出来ます。しかし、一般的に社会的な信用はコツコツと長年の期間と実績を積み重ねて築くものです。
2014年の『倒産企業の平均寿命』(東京商工リサーチ調査)によると業歴30年以上の企業の倒産比率は30%となっております。
これは、逆に言えば、業歴30年未満の企業の倒産が全体の70%ということであり、社歴の浅い会社の倒産が多いことがわかります。
このような裏付けからも、社歴の長い会社=信頼できる会社 という事が言えるのではないでしょうか。
また、取引の内容によっては、あらかじめ取引先の会社の財務をチェックしたり与信管理を行うことがあります。
このような場合、個人事業だと取引をお断りされるケースも多々ございます。
他にも、働く立場になって考えると、個人事業主のもとで働くより会社組織の方が安心できますので求人募集の面でも有利でしょう。
将来事業を大きくしたいのであれば会社組織にしていく必要があります。
有限責任について
個人で事業を行う場合には、事業での責任は無限責任となりますので、事業の債務について事業用の預金や資産で補えない場合には、個人の財産である預金や定期保険を解約してでもこれを弁済しなければなりません。
これに対して株式会社や有限会社は、事業での責任は株主が出資額を限度として負うこととなります。小規模会社の場合は株主である出資者と事業の責任者である社長が同一であることが多いですので、その点から比較すると会社組織の方がリスクが少ないといえます。
しかし、中小企業に関しては、金融機関から借り入れを行う際に社長の個人保証を求められるケースが多くありますので、その場合には連帯保証人として万が一の場合には個人財産までリスクが及ぶこととなります。
最近は中小企業庁より『経営者保証に関するガイドライン』が公表され、法人と個人が明確に分離されている場合などには、経営者の個人保証を求めないなど従来よりも明確・緩和された指針が示されていますが、中小企業における有限責任は、連帯保証人を求められない通常の業務上での損害に関する責任のみと限定的に考えておくべきです。やはり、会社の社長となると重い責任を負いながら日々業務を行っていくこととなります。
節税について
会社組織にすると、個人事業にはない節税メリットが大きく3つ以下の通りあります。
後程、それぞれの節税手法の具体的な事例を取り上げます。ここではどのようなメリットがあるのか簡単にご紹介します。
会社組織の節税メリット
- 個人事業では認められない費用も会社組織にすると経費にできる。
- 事業主や家族へ給料を支払うことで節税が可能となる。
- 法人税率と所得税率の税率差により節税となる。
会社組織のデメリット
- 事務処理が増加
- 赤字の場合でも税金が発生する
- 会社の現金を自由に使えない
事務処理の増加
個人事業で事業を行う場合には、開業の手続きも時間も費用もかかりませんが、会社組織の場合には、会社を作るため設立の費用がかかったり、公証役場に定款の認証を受けたり、また本店所在地や役員の変更が生じた場合には法務局で登記の手続きを行う必要があったりと何かと事務処理が増加します。
面倒な手続きは苦手という方は会社組織にしない方が良いかもしれません。
しかし、このような面倒なルールを守って事業を行っているからこそ、社会的な信用が得られ評価されていくのです。事業を拡大・発展させていく夢があれば必要経費として割り切って考えるべきではないでしょうか。
赤字の場合でも税金が発生する
株式会社・合同会社の場合には最低年間7万円の税金を支払う必要があります。
こちらは、事務所所在地の市区町村と都道府県に納める税金になりますが、事務所がある地域の行政サービスを受けているという趣旨より利益に関係なく課税されます。
従って、こちらの税負担を考慮すると会社組織にしない方が支払う税金が少なくなるケースも稀にございます。
当社では、個人事業と会社組織にした場合の税負担のシュミレーションを行った上で最善な方法をご提案いたします。余計な税金が増える場合には会社組織とすることをお勧めしませんのでお悩みの方は無料相談フォームにお問い合わせください。
会社の現金を自由に使えない
個人事業で事業を行う場合には、いつでも事業で使用しているお金を自由に使用することが出来ます。
しかし、会社組織で事業を行う場合には会社の財産と個人の財産を明確に分け会社で儲けた利益は会社のものとして自由に使うことは出来ません。
つまり、儲かったときに会社のお金を自由に引き出し私的流用してはいけないということです。
自分の給料も株主の承認を受けなければ受け取ることが出来ません。
会社は出資した株主ものであり、株主から経営を任された人が社長(代表取締役)となるのです。従って、株主=社長という会社であっても、会社法で定められた決まりに基づいて事業を運営していかなければならないのです。
最初は公私の判断に迷うことがあるかと思いますが、これもすぐに慣れますので当社としては些細なデメリットと考えます。
4.会社設立・個人事業と会社組織の違いについてまとめ
会社にすると、社会的信用度も上がり、節税の幅も個人事業に比べ広くなる。
また、万が一の場合の責任も無限責任ではなく有限責任となる。
いくつかのデメリットはありますがせっかく独立して起業するのであれば、会社組織として事業を発展させていくことが良いでしょう。
なお、税理士が会社を設立する場合、その職務内容の公共性から税理士が2名以上いないと法人組織とすることが出来ません。司法書士や、行政書士も同様です。
士業の世界ではまだまだ個人事務所も多いですが、当社は会社組織として事業を行っております。法人化にするか悩まれている方、当社が法人化した理由についてもお話しできますので無料相談フォームにお問い合わせください。
ちなみに、税理士事務所の会社組織は『税理士法人』といいます。『株式会社』や『合同会社』を名乗ることは出来ません。同様に、医療法人や弁護士法人なども、株式会社・合同会社とは異なるルールがございますので、その辺りのところはまた次の機会にブログアップしてお知らせします。
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